クリスタの素材サイト以外でも、背景に使えそうな3Dがあるね〜
でも拡張子がskpだからこのままだとクリスタに配置できないみたい!どうしよう
ということでたくさん調べながら実践してみました。
本記事では、筆者が実際に試行錯誤した、skpファイルを白黒漫画の背景に使用する方法を紹介します!
回り道をしつつも笑、無料でできる方法をめっちゃ模索したので参考になると嬉しいです!!
そもそもクリスタで配布されている小物が配置できない、動かない、ソフトが落ちるんだけど!なんて方はこちらもどうぞ。
なお、今回実践する環境はこちら。
OS:Windows10
PCスペック:メモリ16GB・NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU・AMD Radeon(TM) Graphics
ペイントソフト:CLIP STUDIO PAINT EX
3Dソフト:blenderまたはSketchUp
そもそも、クリスタに配置できる3Dデータとは?
こちらの記事を読んでいただいている方はご存じかもしれませんが、クリスタ以外のACON3Dなどで配布されている3Dデータ(skp)は、現在クリスタでそのまま配置することはできません。
実際にドラッグアンドドロップで試してみましたが、無理でした……。
クリスタで配置できる3Dは、拡張子が以下のものです。
- obj
- fbx
- 6KT
- 6KH
- LWO
- LWS
- cs3c
- cs3o
- cs3s
また、上記参考リンクにもあるように、使うPCやタブレットのOS(Windowsやandroidなど)によっては使えないものもあるので注意ですね。
ということで、クリスタでskpファイルを使いたいなら、使える形式に変換すればいいということがわかりました。本記事ではobjまたはfbxに変換する方法を紹介します。
obj・fbxに変換してみよう・方法1:SketchUpのお試しを活用
一番スムーズにやりやすかったのですが、若干問題点もある方法です。
SketchUpは3Dソフトで、skpをobjやfbxに変換できます。
SketchUpは3Dの表示がアニメチックで、ぐるぐる動かしてるだけで楽しいんです!!
ただし、それができるのは有料版のみ。
といっても、8日間無料で利用できるお試し版があり、そちらで変換エクスポート機能を使うことができます。
やり方は簡単で、アプリ版をダウンロードして、変換したいデータをインポートしてからobjかfbxでエクスポートするだけです。
注意点としては、objで書き出したところクリスタで配置したら白黒になっていたことでしょうか。
テクスチャの情報も欲しい方は、fbxで書き出したほうがよいかもしれませんね。
また、一部のオブジェクトの形が変になっていたので、その点も少々気になりました。
obj・fbxに変換してみよう・方法2:無料3Dソフトを使う【画像】
アドオンの追加など準備が必要ですが、無料でできる方法です。
Blenderという3Dソフトを使うと、skpファイルをfbxやobjに変換することができます。
こちらのソフトは無料で使えるのが特徴ですが、そのままではskpファイルをインポートすることができないのが難点。
でもご安心を!
以下でアドオンの追加方法や最新バージョンなども共有しますので、参考にしてみてください。
準備:blenderでskpを読み込めるようにする【画像解説】
blenderをダウンロードしても、そのままではskpファイルを読み込めません。
しかし、アドオンというものを追加すると、インポートできるようになります!
やり方は結構簡単なので、手順を見てやってみてください。
- スケッチアップインポーターを入手する
2024年3月現在、こちらが最新だと思われます。
(最新のものでないと、blenderのバージョンを下げなければいけない可能性があり面倒です!)
下の画像のように、「zip」ファイルをダウンロード。展開や解凍は不要です。 - blenderのプリファレンスを開きます。
- アドオンの項目から、先ほど入手したzipファイルをインストールします。
- インストールしたら、上のタブの「コミュニティ」からsketchup importerを探してチェックを入れます。これで準備OKです!
blenderでskpをfbxに変換する
準備ができたら、skpデータがインポートできるようになっているはずです。
ここでは、データを読み込んでfbxに変換してみましょう!
ちなみに、objのデータについては、blenderでも白っぽいオブジェクトになってしまうこともありました。テクスチャとか色の設定の関係なのかなと思いましたが、専門知識はないのでわからず。
テクスチャや色を乗せたまま使いたい人はとりあえずfbxでエクスポートするといいかもしれません!
- インポートを行う前に、もともとある四角い箱やカメラなどを消してしまうのがおすすめです。
Aキーを押すとすべて選択できるので、deleteで消します。 - blenderでskpファイルをインポートします。
ファイル→インポート→SketchUp(skp)を選択。 - インポートの設定画面では、最初「Scene(s) As Camera(s)」にもチェックが付いていますが、なくても大丈夫そうだったので外しています。
- インポートするとオブジェクトが出てきました!
こちらはACON3Dで入手した無料のお家です。なんか浮いてますね。
ものによって中心に出てこないどころか、なんもないけど?となることもありますが、右にリストが出てくれば存在はしています。 - 特にこの画面で3Dをいじらなくても大丈夫です。なんも見えなくてもたぶん大丈夫。
エクスポートしていきます。
ファイル→エクスポート→FBXを選択。 - エクスポートの設定画面になります。
保存先やオプションを設定しますが、私は「可視オブジェクト」と「メッシュ」を選択しています。 - これでfbxのエクスポートは完了です。
blenderでskpをobjに変換する
objファイルにエクスポートする方法も途中までは同じです。
インポートまでの手順を省いて解説します。
- skpをインポートしたら、objで書き出しします。
ファイル→エクスポート→Wavefront(obj)を選択。 - エクスポートの設定画面です。
クリスタに乗せた後、壁などの一部オブジェクトを非表示にしたいという場合はグループ化(オブジェクトグループ)を選択したほうがいいと思います。
設定したらエクスポートを選択。 - objの書き出し方は以上です!
変換した3Dデータをクリスタで背景化【obj・fbxで画像比較】
SketchUpやblenderでskpデータを変換出来たので、クリスタに乗せて背景っぽくしてみます。
今回せっかくobj・fbxの両方で書き出しをしたからには、違いがあるか比較したいと思います。
こちらはクリスタでskpを使いたい人向けの記事ですので、クリスタの細かい操作方法や設定については、また別記事を作成予定です。
なお、本記事で掲載しているのは、blenderで書き出ししたものです。
では、先ほどエクスポートした両データがどのような感じなのか見てみましょう!
クリスタで、それぞれのコマに3Dデータをドラッグアンドドロップしていきます。
objファイルは白っぽいですね。
カメラを操作して家の中を見てみます。
カメラや光源も大体同じくらいに揃えてみました。
objの方はほぼ色がない状態です。これは素材によっても違うと思います。
次に、線画化するためにLT変換してみます。
LT変換はEXの機能ですが、PROの場合ラスタライズしたのち「フィルター」→「効果」の「イラスト調」でも線画を抽出可能です。
3Dの状態ではかなり差があるように見えましたが、LT変換したら大体一緒の見た目になりました。
なお設定は以下です。
ここでいろいろと設定をいじってきれいな線を目指すのもよいのですが、正直ある程度手で修正するのが効率良いと思います!(今回は全編にわたって手描きによる修正は加えていません。)
さて、LT変換の結果ですが、テクスチャやトーンを使わない場合は、fbxでもobjでも大差ないように見えますね。
線画が欲しいだけならどっちでも大丈夫そうです!
ここからはさらにトーンを作成してみました。
元になった3Dデータをラスタライズして画像にしたのち、fbxではコントラストなどをいじってから色設定をグレーに→トーン化しています。
objはそもそも色が薄いのでラスタライズしてそのままトーンにしました。
実際には寄りで見ると白いところもトーンがかかってしまっているので、手作業で直したり設定の見直しが必要ですね。
また、私自身は漫画背景にくわしいわけではないので、あくまでも「skpデータをクリスタで扱う場合の手順」のみにおいて参考にしていただければと思います!
方法3:SketchUPで画像化→クリスタで利用する【画像】
3Dデータが重すぎてクリスタでは使えない!!
という人におすすめの方法です。
ただし、3Dソフトすら落ちてしまう場合は無理ですが……
SketchUpのアプリ版およびWEB版でできるのですが、今回はWEB版の無料の範囲で可能な方法を紹介します。
(SketchUpにはアプリ版とWEB版が存在します。アプリ版は8日間のお試しが終了すると使えなくなってしまいますが、WEB版は機能制限がありますが無料で使えます。)
SketchUpのWEB版(無料)で3Dを画像にしてダウンロード
- SketchUpのWEB版を開き、skpファイルを開きます。
- カメラなどを操作して、欲しいアングルに調整します。
(NaiNaiなどのウインドウを透かせるツールを使うと、クリスタでコマを透かしながらアングルを調整できるのでおすすめ。)
画像に簡単なツールの説明を載せました!
やりたい操作をクリックしてから、ドラッグすると移動等を行えます。 - ズームなどがなかったら下の「…」より選択可能です。
- スタイルを設定します。
スタイルは、3Dの見た目をいろいろと変更できるメニューです。
無料版では細かい設定ができないので、決まったスタイルから選ぶ必要がありそうです。
ここでは、線画が欲しいので、「陰線」を選択してみましたが、どうも線が途切れていますね。 - さすがに線がなさすぎなので他のメニューを探してみます。
場合によっては陰線が使えるのではないかと思ったので共有しておきますね。
次は、「写真モデリング」を選んでみました。青い線ですがきれいに出ていると思います。 - それではこちらを画像化していきます。
左上の三本線をクリックし、
「ダウンロード」→「PNG」を選択。 - オプションのビューを選択してしまうとアングルが変わってしまうので、そのままがいい場合は触らずに「PNGでエクスポート」を選択してください。
- これで画像がダウンロードできました!
- 通常スタイルの同アングルも合わせてダウンロードしておくと、トーン化に使えるかもしれません。
ダウンロードした画像をクリスタの背景にする
では、この画像をクリスタに読み込んで背景にしてみます!
読み込みの方法やメニューの選択方法など、ほかにもあるかもしれませんが、ご了承ください。
- クリスタのメニューからファイルを読み込みます。
ファイル→読み込み→画像 です。
トーン化されてしまっていたら、効果→トーンを解除してください。 - 読み込んだ画像を編集しやすくしたいので、ラスタライズします。
レイヤーを右クリックしてからラスタライズを選択。 - 今回は、下書きにするのではなくそのまま線として使ってみたかったので、色調補正で2値化をしてみました。
閾値の設定画面が出てくるので、いい感じの線が出るようにいじります。 - おまけ:2値化したものと輝度を透明度に変換したものの違いです。
- 2値化した線画をベクターに変換し、線修正ツールで調整したものがこちらです。
線の強弱が付いたと思います。
ちょっと極端に調整したので、汚いかもしれません。
輝度を透明度に変換したものをベクターレイヤーに変換してもいいと思います! - おまけ:トーン
SketchUpで同アングルの通常スタイルのデータをエクスポートし、クリスタでグレースケールにしてトーン化したものを合わせてみました。
有料版では影だけをエクスポートするといった設定も可能なのですが、無料ではそれができないのでこの方法で試してみました。
他に考えられる方法
上記の見出しではSketchUpで写真モデリングスタイルを選択し2値化、といった方法を取りました。
他にも考えられる方法としては、そのまま通常バージョンでPNGを書き出し、クリスタ上でLT変換やライン抽出をおこなうというものも挙げられます。
単純に、下書きとして画像を使うだけでも時短にはなりそうです。
素材によっても線の出方が違うと思うので、いろいろな方法を試してみてベストを探すのがよいのではないでしょうか?
skpは変換や画像化でクリスタに使える!
本記事ではskpの3Dデータをクリスタで使うための方法を紹介しました。
試行錯誤していく上でうまくいかない方法も多く、苦労しました!
skpデータをobj・fbxなどに変換すればクリスタで直接使えるほか、SketchUp上でアングルを調整して画像化することでも使えます。
私は漫画背景にくわしくはないのですが、「背景の時間短縮のために3D素材を入手したけどうまくクリスタで使えない」という方の参考になっていたら嬉しいです!
今後は、クリスタでいかに3Dの線をきれいに抽出するか考察した結果や、そもそもの3Dの配置や操作方法について学んできたことも記事にできたらいいなと思っております!